sukimapsy's blog

雑談,雑記ですが基本心理屋さんなので,心理学のことを書いていこうと思っています。基礎と応用の隙間を行き来する心理屋さんです。とある大学の非常勤講師です。で,臨床心理士でもあります。

予想どおりに不合理(ダン・アリエリー)早川書房 読書中

行動経済学という学問があります。

従来の経済学とは,少し違って,不合理な人間(普段の人々)がどう経済行動を行っており,その結果経済活動(大きな動き)を生むのかを考える学問と言えます。

言い方を変えると,従来の経済学では合理的な人間を想定し,その合理的な行動の結果の経済活動(大きな動き)を考えていたといえます。

 

どちらがより現実に近いかという視点から考えると行動経済学といえます。

 

ただ,どちらが優れているかという問いには,明確な答えがありません。というか,そういう問いが立たない,もしくは場面ごとにその問の答えが変わると言えます。

 

実際の人間の行動から,人の経済活動を捉えたいんだという場合は,行動経済学でしょうし,いやいや,大きな枠組として,経済活動を説明したい,その場合は,数理的にモデル化して,どうこうしたいという場合は,従来型の経済学を選択することに成ると思います。

 

もちろん,前者が後者の目的を達成しようとすることもできるし,その逆もしかりです。

 

と前置きが長くなりましたが,タイトルの

 

 は,その行動経済学の読み物になります。

以前,この本のハードカバーもソフトカバーも増補版も購入したのですが,やっぱり文庫本ば持ちやすいと思い,購入しました。

 

行動経済学は,経済学の考え方に心理学のエッセンスが入った学問でもあります。

 

ダニエル・カーネマンは行動経済学の理論を発表しノーベール賞を受賞しましたが,その実験手法は心理学ですし,ダニエル・カーネマンは心理学者です。

ノーベル賞に心理学賞がないので経済学で受賞したんだと思います。

 

で,タイトルのダン・アリエリーは,ノーベル賞ではなくイグノーベル賞を受賞しています。イグノーベル賞に入るくらいインパクトの大きい発表があったということです(いままでの研究を総合してでしょうが)。

 

その研究内容が手のひらで読める,ということで,なんだか宣伝ぽいですが,読書中の書籍を紹介しました。

 

なお

 

不合理だからうまくいく: 行動経済学で「人を動かす」

不合理だからうまくいく: 行動経済学で「人を動かす」

 

 

が近日発売予定です。

購入書籍

ご無沙汰しています。

できるだけブログを更新したいのですが,私事にかまけなかなか書けない日が続いています。

今日は,購入した書籍の紹介。

 

 

臨床家のためのDSM-5 虎の巻

臨床家のためのDSM-5 虎の巻

 

 

 

です。

 

DSMは日本において現在

DSM4TRというものが使われています。

DSMの4番で,その改良だよって意味ですが,そもそもDSMとはなにかを説明します。

 

DSMとは「精神障害の診断と統計の手引き」でアメリカ精神医学会の診断指針です。

ざっくり言うと,病院に来た患者さんの診断名をつけるのに参考にする教科書みたいなものです。

 

もっとざっくり言うと精神障害に分類される病気の診断基準がたくさん載っている本です。

 

注目するところは,アメリカの精神医学であるということ。

一応,ICDという国際疾病分類(疾病及び関連保健問題の国際統計分類)っていうのもあってこっちはWHOが分類している。けど,こっちは精神障害だけではなく全部の病気を網羅しているんです。精神医学だけに限定するならDSMの方がスッキリかなと思います。

ちなみにDSMは,ICDの精神および行動の障害の章とほぼ同じとされていて,行政関係はICDでの表記採用していたりします。

例えば,障害者手帳の申請とか更新とかで書類に記載する時はICDだったと思います。

 

で,なんでいまさらDSMの本を買ったのかというと,

 

今回,アメリカでは4から5へ生まれ変わったんですね,DSM

 

そうなると,日本でも利用している診断基準だから,日本でも大きな影響を受けるわけです(自分は診断しないですが。診断できるのはDrだけ)。

翻訳などは日本精神医学会が頑張ってるんだと思うんですが,その前にどこがどう変更されたのか知りたくて購入しました。

 

英語の原典読めばいいんですが,英語が得意じゃないのと,書籍が高いのとでこちらの本を参考にすることにしました。まだこれからですが,変更点がまとまっていそうで期待大です。

リストカット(自傷行為)をする人

本当は,新型うつに関して書こうかなと思っていたけど,少し前に,リストカットするメンヘラには周りは注意した方がいいというツイートを見かけたので,リストカット自傷行為)する人について書きます。

 

上記のツイートは,多分ですが一般的(心理臨床的?)にボーダーと呼ばれる人を指しているのではないかなと推測します。違うかもしれませんが。

 

まず,ボーダーとは何かから。

 

ボーダーとはボーダーラインパーソリティ障害の略です。境界性人格障害の方が馴染みがある方もいると思います。

どういう障害かというと,人と接するときに少し一般的な反応や判断からズレている,そのことで自身が混乱したり,周りが困ったりする状態になるというものです。

だいぶ大雑把ですが。

 

他の人と仲良くしたい,けど,裏切られるのが極端に怖いという,矛盾を極度に抱えているとも言えるかもしれません。

 

例えばですが,彼氏が疲れて電話にでれないという状況を考えてみます。

大体の場合,なんで出ないのだろう,なにかあったかな。心配だな。そんな感じに成るのではないでしょうか。

しかし,ボーダーの方は,もう少し不安定で,また「見捨てられ不安」を抱えていることが多いので「私は嫌われた。振られたんじゃないか。もうダメだ。別の彼女がいるのではないか」と不安になり,メールを連発したり,家に押しかけたり,または自室で悩みこんだり,場合によっては自傷行為に至る人もいます。

 

仲良くなりたい相手を過度に理想化してしまうことも多く,ちょっとした事で相手が理想から外れると不安になり,その不安を相手にぶつけてしまうことも多いように思います。

 

少し極端に書きましたし,足りない点も多いですが,ツイートされた方は,こういう人物を想定されたのではないかなと思います。

 

(ここでは極端な部分だけ書きましたが,今まで接してきたボーダーラインパーソリティ障害と思われる方たちは,殆どが真面目で,頑張り屋さんな気がします。その頑張りがから回ってしまい,本人を傷つけたり,周りが困ったりしている。反面,頭の回転も早く,理解すると環境調整もできる方が多いので,ちょっとした本人の気付きで,生活が楽になる方も多いような気がします。本人も不安になりたくてなっているわけではないのでほんとうに大変な毎日だと思います。)

 

しかし,自傷行為をしているからといってボーダーラインパーソリティ障害ではないですし,ボーダーラインパーソリティ障害の人が全て自傷行為をするわけではありません。

 

自傷行為をする人が気を引くために見せてくる,周りが心配しているのを嬉しがっているという表現も見かけます。

もちろん,そいう部分がないわけではないのですが。。。

 

自傷行為をする人の多くは,そもそも人に自傷行為をしていることを知られたくないと思っているという調査研究があります。

自傷行為を恥と思い,またそうしなければならない状況や自分を責めている人が多いということです(国立精神神経センターの松本先生のご著書に詳しいです)。

 

そもそも,自傷行為はなぜしているのか。

人に見せたいからではなく,ストレスコントロールのためと考えられます。

松本先生の言葉を借りれば,生きるためにリストカットする。

 

死にたくなるほどのストレスを感じた時,切ることで,安心する。

脳内に麻薬に似た物質が一時的の放出され,気が休まる状態になるようです。

しかし,麻薬同様,使えば使うほど効き目が弱くなるため,何度も切ったり,最初は浅かった傷が深くなることもあります。

 

場合によっては事故死,また傷の手当をしないという(これも自傷行為ですが)によって組織が壊死していくという人もいます。

(死にたいほどのストレスなので,場合によっては自殺することもあります。自傷行為をしている人は自殺しないというのは,迷信といえるかもしれません)

 

これらは基本的にばれないように行っています。しかし,何らかの形で,自傷行為がバレてしまった,そして,その時の周りの反応が,自分が思っているより大きかったりすると,それ以降,その大きな反応(いままでは何もできない自分,ダメな自分が他者に影響を与えている事実)が得たい(無意識の場合もあります)ということで再度行い,再度周りに見せようとするということが見受けられるのだと思います。

 

この場合,相手にしないという方法が取られがちですが,それは急にはしごを外された状態いえます。

少しずれますが,例えば,1日風邪で寝込んでいた,翌日も高熱で動けなくなった,という場面を想定します。1日目は,ご家族や恋人が心配し,優しく看病してくれていた。しかし,翌日も同じように辛い,場合によっては前日よりも辛いのに「はいはい,わかったわかった」と対応されたらどうでしょう。すごく心細くなるような気が,自分はします。

 

いきなり距離を置くのではなく,

そういう行為ではなくてもあなたのことに関心があること,そうじゃない方法でうまくストレスを解消してみようという話をしていくこと

 

つまり,適切な距離で,相手のストレスコントロールの成長を見守ることが大切なのではないかなと思います。

 

なので,リストカットする人とは距離を置けと読めるようなツイートがあって,寂しいなと思い,今回ブログに書きました。

 

 

 

蛇足ですが

自傷行為をしやすい心の病はボーダーラインパーソリティ障害以外では,うつ病双極性障害躁うつ病)などの気分障害統合失調症解離性障害,他のパーソナリティ障害,物質関連障害(アルコールを含む)などがあります。

うつ病は怠けなのかなぁ

学校に行きたくない,会社に行きたくないということは多くの人が経験していることだと思います。

でもなんとか登校したり出社しているわけですね。

それでも辛い時は,学校に行きたくないからと電話したり,有給休暇を使ったりしますよね(しない人もいますが)。

 

うつ病の人はどうなのか。

 

うつ病抑うつ)の人を身近に見たことがあるし,仕事柄お会いするので,その人達の話を総合すると,これは会社に行けないよねと,そう思います。

 

例えば

朝起きると,まだ出社の2時間も前とわかる。布団の中で,仕事がうまく出来るか不安になり,もう一度寝ようとするけど寝れない。

出社時間の30分前になっても体が動かない,起きようとしているのに,上半身が起きただけで立つことができない。

なぜか涙が止まらない。

出社できない,登校できない。

どうしたら良いかわからない。

 

いきなりこんな状態になっているわけではないのですが,日々,我慢したことで,頑張りすぎて一線を超えてしまった,そんな状態といえます。

 

じゃあ,こうなる前に,もっと前に,ストレス発散しておけよと思うかもしれません。

しかし,多くのうつになった人は,初期にストレスを感じ,そのストレスを自分で発散しようと考え実行していることが多いです。

 でも,うまくいかない。

 

それをも超える状況・事態がのしかかり,結局はぐしゃっとなってっしまう。

 

話を聞いていて,多く聞くなーと思うのは,

「最後は○○さんの一言だった」「○○さんがわかってくれていたんですけど……」という感じのことです。

 

この一言が出てくるのはカウンセリングの結構後のほうですが。

 

どうも他人のせいにするのが苦手な方が多いようで(自己責任と思いすぎ?),結構出てこないんですが,最後の引き金は同僚や,友人,上司,先生からの(本人からすれば信頼を失うような)一言だったりします。

 

それまで本人は,本人なりに仕事や学校の勉強,家庭内のストレスとかいろいろ対処しているのですが,それがわかってもらえなかった,頑張ったのに誰も見てくれていなかったということで,支えがスポンとなくなっちゃうように思います。

 

こういった人たちを見てきているので

うつ病は怠けているという意見には否定的です。

もちろんケースバイケースということもあるでしょうが。

 

多くの人が未だ,うつ病は怠けと言っているのは

自分が辛い時休んだ経験や,休もうとしたけど行けたという経験から推測してだと思います。

推測は正しいです。でもそれはうつが重くなる前までなのです。

 

最後の一線を超える前までは,うつは怠け,もっと頑張れという考えで頑張ってしまったケースも多いと思います。で超えて,頑張れなくなる。

 

僕が関わったうつの人たちは,そんなふうに見えました。

 

蛇足ですが

うつ病の人は治ろうとすることに貪欲な気がします。早く良くなりたい,そう思っているようです。

真面目すぎて,壊れていってしまったものがあるのかもしれません。

 

 

 

心に関する概念の広さ

心理学を学んでいる人は必ずぶち当たるのが,これは心理学じゃないという感覚かなと思います。

大学では,今までの心理学ではなく,学問の心理学を知っていくわけです。

 

自分自身も大学に入って勉強するまでと,大学に入ってからでは,心理学に対するイメージがガラリと変わりました。

 

どう違うのか。

 

まずは,自分が高校時代まで思い描いていた心理学について書いてみようと思います。

地下鉄サリン事件阪神淡路大震災酒鬼薔薇聖斗事件などがニュースで大きく取り上げられ,と同時に臨床心理学に注目が集まりつつある,そんな幼少時代でした。

 

臨床心理学と,臨床心理士に注目が集まって行った時期でした。

 

大きな事件や事故,震災などで人の心が傷ついてしまう,一般にPTSD(外傷後ストレス障害,急性ストレス障害を含んでいたかもしれません)とかトラウマと呼ばれる状態(症状)に心の専門家が治療にあたる(正確には治療はしないわけですが)。

 

医師ではなく,臨床心理士が困った人の心を修復する,そんなイメージでした。また,心の専門家なのだから,相手の心が読める,犯罪であればプロファイルでき,犯罪者を特定できるのではないかと思っていました。

 

背景にある思想や理論はフロイト精神分析だったと思います。

無意識,前意識,意識。超自我,自我,イド。

今では多くの人が知っている言葉ですが,この用語の指す心の動きを把握できるのが心理士だと思っていわけです。そして,心理学はこれらの用語を説明し,最終的には相手の心を読み,場合によっては操作できるようになる,そう思っていました。

 

しかし,大学の授業で待っていたのは,心は読めず,操作は難しいということでした。

 

今でも「相手を操る」とか「心を読む」という本がありますが,その本を読んで完全に,対象者の心を読むことも操ることもできないと思います。

 

実際の心理学(学問)は,多少,人の心はこういう時,こうなりそうだということ,長い期間,調査・観察することで行動をある程度制御できそうだという程度を示すにだけです。

 

すごく経験を積んだカウンセラーさんは違うかもしれませんが,普通,心の奥を覗いたり読んだり,ましてや操作することはできないわけです。仮に出来たとしても,その手法をいまのことろ科学的に,学術的に記述できるところまでは来ていません。

 

そのことを知った時のショックはかなり大きかったです。

と,同時に,まだまだわからないこと,探求できる部分があること,人間は複雑だということを再認識したわけです。

 

さて,タイトルに戻りますが,ここまで書いてきたように,一般的な心理学(個人の思う心理学)と学術的な心理学では乖離があるわけです。ここまでで2つの心理学があるわけですが,学術的には更に増えていきます。

 

例えば

行動心理学

認知心理学

社会心理学

臨床心理学

性格心理学

発達心理学

教育心理学

学習心理学

などなど

 

人間が活動する場所に心理学あり。本当に幅が広いのです。

その分,心に関する概念も広くなります。

同じようなことでも,社会心理学ではこう言われている用語が発達心理学ではこう言われているなんてこともたまにはあります。

(このへんは,一概に同じ概念とは言い切れないことも多いのですが)

 

このブログではそうした広い概念の一部を書き散らしながら,少しでも心理学がやっていることを記録できればいいなと思っています。

 

自分の守備範囲が中心ですが,興味があれば,読んでいただければ幸いです。

 

長文にお付き合いいただき感謝いたします。

 

 

開設

雑談をしたいけど,リアル名だと色々と面倒があるので,sukimapsyとして開設しました。

暇があるときに,考えとか,アイディアとか書き込みたいと思います。

 

一応,当方は心理屋さんの端くれです。

基礎と応用の間を行き来しています。

隙間産業なのでsukimaと名付けました。どうぞよろしくお願いします。

 

最近では,基礎と応用の両方を行き来する人は増えつつあるように思うので,変なことを書いていたり,面白いアイディアとかありましたらコメントください。

 

まずは,開設のあいさつまで。